アトラクタ構成 - カオス解析解説 -
アトラクタ(attractor)とは、引き付けるという意味の英語の動詞「 attract」からできた名詞です。決定論に従う力学系の構造はd個の状態変数の関数として記述でき、 その運動は相空間における軌道(トラジェクトリ)が落ち着く先、すなわちアトラクタとして表現できます。 アトラクタの近傍を初期状態とする解は、文字通りアトラクタに引き付けられていきます。このアトラクタには いくつか種類があり、カオス研究がさかんになる以前は、「平衡点」「リミットサイクル」「トーラス」 という3つのアトラクタが知られていました。
しかしながら、一般には分析対象となる系の構造が明らかでない 場合や、すべての状態変数を観測することが困難な場合が多いようです。そこで1個の状態変数からd個の状態 変数を復元するターケンスの埋め込み定理を用います。ターケンスの方法によって再構成されたアトラクタは本来のアトラクタと本質的に微分同相が保証されています。ターケンスの手法により遅れ時間を用いて未知の状態 変数を復元することを埋め込み、遅れ時間のことを埋め込み遅延時間、状態変数の個数のことを埋め込み次元と 言います。
しかしながら、一般には分析対象となる系の構造が明らかでない 場合や、すべての状態変数を観測することが困難な場合が多いようです。そこで1個の状態変数からd個の状態 変数を復元するターケンスの埋め込み定理を用います。ターケンスの方法によって再構成されたアトラクタは本来のアトラクタと本質的に微分同相が保証されています。ターケンスの手法により遅れ時間を用いて未知の状態 変数を復元することを埋め込み、遅れ時間のことを埋め込み遅延時間、状態変数の個数のことを埋め込み次元と 言います。
相空間
力学系における運動は、時間と位置のグラフでは、その運動に関するすべての情報 は含まれていません。初期値に依存しない一般的な運動の表現方法は運動方程式のn個の変数を軸に とった空間を想定します。これを相空間あるいは状態空間と言いいます。たとえば運動方程式の変数が 3つのとき、3次元空間の一点として状態を表現すればその系の振る舞いが軌跡として一目で把握できます。
「平衡点」「リミットサイクル」「トーラス」
平衡点・・・振動の振幅が小さくなり静止状態に至る
リミットサイクル・・・初期値によらず一定の周期に至る運動
トーラス・・・2つの周期を持つ運動
ターケンスの埋め込み定理
(時間遅れ座標による相空間とアトラクタの再構成の原理)
埋め込み遅延時間とは、アトラクタを描くために時系列データを多次元相空間内に埋め込む時のパラメータです。観測された一本の時系列データをw(k) とします(k=0,1,2,3…)。
このデータを用いて、ベクトルPi=(w(i),w(iτ),w( i+2τ))をつくります(例として、3次元ベクトルとしました)。ここで、τが埋め込み遅延時間で時間 遅れを表す量です。このベクトルPiを、3次元再構成相空間内(座標軸はXi=w(i), Yi=w( i+τ), Zi=w(i+2τ))に順次プロットしていくと(i=0,1,2,……,n)軌道が描けます。これがアトラクタです。
埋め込み遅延時間とは、アトラクタを描くために時系列データを多次元相空間内に埋め込む時のパラメータです。観測された一本の時系列データをw(k) とします(k=0,1,2,3…)。
このデータを用いて、ベクトルPi=(w(i),w(iτ),w( i+2τ))をつくります(例として、3次元ベクトルとしました)。ここで、τが埋め込み遅延時間で時間 遅れを表す量です。このベクトルPiを、3次元再構成相空間内(座標軸はXi=w(i), Yi=w( i+τ), Zi=w(i+2τ))に順次プロットしていくと(i=0,1,2,……,n)軌道が描けます。これがアトラクタです。